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ビターチョコレート









++ビターチョコレート++



勝負だ。
今日は勝負の日だ。
2月14日。日本では女の子が男の子にチョコレートをあげる日。
若干企業の戦略にはめられている気はするがそこの所は多少目を瞑ってやろう。
今日は絶対ぜったいゼッタイあいつに告〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜る!!!
なんでこんなに気合入ってるかって??だって・・・あっ!!
あたしの名前は桃。それで、あたしの時期彼氏(笑)が夏彦。で、ライバルが奈美。
凄くない?見事なトライアングルっていうか三角形じゃん。っていうかトライアン
グルも三角形も一緒じゃん。
でででで、決めたの。
今日、告って、ゼッタイにOKもらってゼッタイ夏彦の彼女になるって!!。
まあ絶対OKはもらえないけど・・・
奈美はかわいいし・・・
それに、あたしはバカだし。
夏彦にはいつもバカにされてて喧嘩相手みたいな感じで、ホンッとにただの友達って
いう言葉がピッタリくる関係なの。
朝あったら「おはようバカ」の一言から始まって、昼休みは購買で争奪戦やって、放
課後はお互いにバスケをやってて、たまに一緒に自主練なんかして、ミスったらけな
したりして。
バカみたいな関係なんだけど、それにバカみたいに恋に落ちた。
あたしってバカだねホント。
でもやっぱりバカだからもう伝えるしかないなって。
この関係壊れたって、この思い伝えれば後悔なんかないかなって。
やっぱりバカだからそこまでしか考えられないの。
とにかく、今日が勝負。





キーンコーンカーンコーン




ヤッバ!!今日ガッコ遅刻じゃん。もう最悪!!気合入れて髪なんか巻いてくるんじ
ゃなかった。あーもう最悪。
これで遅刻カード10枚目・・・あー親呼び出される・・・
バレンタインのバカ〜
「おはようバカ。お前も遅刻か?」
びびった〜!!夏彦じゃん。なんでここにいるの?!
「あーおはようアホ。あんたも遅刻なの??」
「ああ。今日はなんと言っても聖バレンタインデー。昨日の夜から婦女子の皆さんが
俺にどれだけチョコをくれるかを想像力たくましく考えてたらぜんっぜん寝れなくて
さ。羨ましい悩みだろ〜?」
あーあ。なんだよこのテンション。
このままじゃ絶対チョコ渡せないよーな気がする。
「いいねぇモテ男じゃん。あっ!それ全部義理なんでしょどーせ。じゃなきゃ今ごろ
彼女いてもおかしくないもんねー」
「よくゆーわ!自分も今日決めてきたやろ?髪なんか巻いちゃって女の子ぶっちゃっ
て〜!縦ロールいつの時代やっちゅうの」
「いいじゃん。だってバレンタインだもん。ほら、あたしからチョコがもらいたくて
コビうってくる男子もいるかもしれないじゃん」
「義理すらもらえない可愛そうな奴だろどーせ。俺もう及川さんから貰う約束してる
し。いーだろ!あれ絶対本命だぜ?!俺しかくれないって言ってたもん。」
奈美か・・・!そういう作戦に出たか。やるなぁあの女。
戦局が不利になってまいりました・・・。
「いいじゃん。その本命チョコもらってさ、ラブラブになってさー。ほら、あんたも
静かにしてればカッコイイし。奈美なんか文句言えないくらいカッコいいし。お似合
いじゃん」
「ホントに?」
は?「ホントにだな?」
何にホントになのか全くわかんない。
それだけ言って夏彦は教室の扉を開けた。
「遅刻しましたぁ〜。」
夏彦がそう言って先生に遅刻カードを渡す。
「夏彦〜、それにお前桃も遅刻かー。お前らいつも仲いいなぁー」
担任がそう言った。教室にはあたし達以外の生徒は全員そろって居る。
「仲・・・いい・・・ね。」
夏彦はそう呟いた。
あたしにはこの呟きの意味がわからない。





っていうかなんだかんだ言ってもう放課後なんですけど。
時間過ぎるの早すぎなんですけど。
あーあ。結局あたしはこのチョコを家に持って帰って一人で食べるのか。
なんか
悲しいね。
それに今日は購買の争奪戦もやらなかったし。
なんか悲しい。
何がいけなかったの?
わけわかんない。
教室でぼーっと一人座っていると、扉が開いた。
振り向くと、入ってきたのは夏彦と奈美だった。
「夏彦くん、絶対それ食べたら感想メールしてね!」
「分かった。ありがたぁーく頂きます。」
嬉しそうに笑った。
ねぇそれあたしには見せない顔だよね。
バカみたいあたし。
なんて今更気付いても遅いよ。バカだよ。
奈美の事好きなのに。
「よかったらさ、またいつでも作ってくるから食べてよね。あたし料理上手いから
さ。ね?」
「まじで?!そんなの大歓・・・って桃。居たのか?」
気付いた。
あーあ。バカみたい。
今ので場の雰囲気しらけた。
邪魔だからあたしは出て行くね。
「おい、何か言えよ桃!」
「ねえ、行かないでよ」
出ていった桃を追おうとした夏彦を奈美が止めた。
「なんで?」
「あたしが、夏彦くん好きだから。行かないで」
「わりーな。それ保留ね!」
夏彦は口の端で笑って部屋を飛び出した。




「おい、桃!お前なんだよわけわかんねーよバカ女」
夏彦はいつもと同じような言葉をいつもとは違う声のトーンで言った。
びっくりした。
夏彦はあたしを追ってきた。
「なんだよって何よ。怒ってんのあんたじゃん。バカにしないでよ。朝から訳わか
んないんだけど。」
「あ・・・」
夏彦は少し下を向いた。
「でも、お前俺のことそういう風に思ってたのかよ?」
「どういう風よ」
「俺と、及川さんがお似合いとか・・・」
思ってなんかないわよ。
出来れば仲なんか壊れてしまえばいいと思ったし。
出来れば喋ってなんかほしくなかった。
「思ってない。思ってないもん」
「じゃあ何だよ。あのなー俺さ、お前の事好きって気付かないのかよ。鈍感女」
あきれたように夏彦は言った。
「気付いてなかった。でも・・・あたしも渡さなきゃいけないものがあった」
もう今しかない。
渡せるのは今しかない。
「これ」
あたしの渡したチョコを夏彦は直ぐに食べた。
そしてあたしを抱きしめた。
あたしの気持ちなんか無視かよ。
それで夏彦はキスをした。
あたしの気持ちなんか無視かよ。
キスはビターチョコの味がした。
バカみたいなあたしたちの関係をぶっ壊すような、
苦い味だった。



**END**












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